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淋菌(Neisseria gonorrhoeae)
1879年にAlbert Neisserによって淋病の原因菌として発見されました。発見者と病名であるgonorrhea (種がどくどく流れるという意で、淋病の外尿道口から膿みがたくさん出ることに由来する)にちなんで名付けられています。
国内では感染症法で5類定点疾患として動向調査がなされています。全国約1,000カ所の性感染症定点病院から年間約10,000の患者報告があります。
男性では尿道炎、女性では子宮頸管炎を主に起こします。未治療ではさらに精巣上体炎や卵管炎など体の内部に病気は進行してしまいます。
淋菌は線毛や複数の外膜タンパク質の機能によって上皮細胞へ接着し細胞内に侵入することに加えて、菌を排除するために集まって来る好中球内で殺菌されず生存することができます。また細胞表面にあるタンパク質は頻繁に抗原性を変換することが知られており、淋菌に対する効果的な免疫反応は期待されません。これらの理由で抗菌物質による治療が必要不可欠です。しかしながら、淋菌は多くの薬剤に対して耐性を示す株が広がっており、今後治療が困難になる症例が出現することが危惧されています。
大西 真(国立感染症研究所 細菌第1部)