理事長ご挨拶

昨年末に日本細菌学会の理事・評議員の改選が行われ、本年、令和6年(2024年)1月をもって新しい理事体制が発足しました。これに伴い、この度、第58代日本細菌学会理事長を拝命し、新理事の皆様とともに日本細菌学会の舵取りをすることとなりましたので、この場をお借りして一言ご挨拶申し上げます。

日本細菌学会の創立当初から脈々と継承されてきた学会活動のミッションは、「細菌学およびその関連領域の科学の進歩に寄与し社会に貢献すること」です。その系譜には、1902年(明治35年)に、第1回日本医学会(微生物・寄生虫学・衛生学の連合部会)が開催されて以来122年、1927年に北里柴三郎先生が総会長として第1回衛生学微生物学寄生虫学聯合学会(第1回日本細菌学会総会)を開催されて以来97年という長い歴史があります。実際、日本細菌学会は、学会創設当初より現在に至るまで、日本の生命科学の原点という立場から、細菌学、微生物学、感染症学および関連領域の研究と教育、また学術・教育・公衆衛生・医療行政において、アカデミアを牽引する大きな役割を担ってきています。

この度、理事長を拝命するにあたり、今期理事会で何ができるか、何をすべきかについて思いを巡らせました。学会活動の活性化や会員数の確保、人材育成や社会への貢献等、対応すべき課題はあまた存在します。思い至ったのは、今期理事会(3年間)の終了直後に本学会が第100回の記念すべき総会を迎えるということです。理事会として日常的にこなしていくべき作業は多々あることと思いますが、「第100回の総会に向けて、本学会をどのような学会にしていくのか?」「第100回以降の本学会のあるべき姿は?」ということを常に念頭において活動していくことで、(細部ももちろん重要ですが)枝葉末節にとらわれない、本質を捉えた運営を行なっていけるのではないかと考えています。

学会活動で何より重要なのは、参加してよかった・面白かった・役に立った、と思える総会や研究会、交流の場を提供することだと考えます。この点について、理事会・執行部が一丸となって取り組んでいきたいと思います。また、本学会において長年取組まれてきた研究と教育の実績、学会員が有する感染制御の基盤技術と情報、および高いレベルの専門知識と技術を、学生・若手研究者や次世代の人材育成、および一般市民に向けた啓発活動に最大限に活用することは、細菌学会に求められる重要な使命であると認識しています。

直近の本学会の最優先の取組事項として、学会活動の見える化(可視化)や産官学および関連学協会との連携強化、会員増に向けた会員制度の見直し等が掲げられて来ました。今期理事会でも引き続きこれらについて取り組んでいきます。特に、学会HPのリニューアルはもとより、進展が著しいSNSや各種メディア等を最大限活用することにより、学会活動の幅広い層へのアピールに努めたいと思っています。また、今期理事会においては、新規に「学術交流促進担当理事」を配置いたしました。他分野や他学会との連携をこれまで以上に促進することで、新たな展開を模索していきたいと考えています。

学会は理事・評議員だけが運営に関与するものではありません。理事長・理事会の方から会員の皆様にお諮りするトップダウン型の案件も当然ありますが、今期理事会においては、会員の皆様からのボトムアップ型の提案を大いに期待しているところです。

楽しく、元気の出る学会にしていきましょう!

ぜひとも会員の皆様の積極的な関与とご協力を宜しくお願い申し上げます。

令和6年5月1日
第58代日本細菌学会理事長 飯田 哲也
(大阪大学微生物病研究所)

第58代理事長 飯田哲也(大阪大学微生物病研究所)