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らい菌(マイコバクテリウム・レプラエ Mycobacterium leprae

らい菌はヒトにハンセン病という慢性感染症を起こす細菌で、1873年にノルウェーのGerhard Henrik Armauer Hansenによって発見されました。現在の分類では結核菌と同じ抗酸菌属に入ります。抗酸菌はミコール酸という成分を含む特徴的な膜構造に覆われ、アルカリや酸に強い抵抗性を示します。この特徴を利用した抗酸染色(チール・ニールセン染色)という染色方法で、らい菌は結核菌と同様に赤い桿状の菌として観察されます。らい菌は抗酸菌の中で唯一、人工培地での培養ができず、そのため動物(マウスの足蹠またはアルマジロ)を使用して菌を増殖させる方法が確立されました。

2001年に初めてインドの患者由来らい菌で、ゲノムサイズが3.27メガベース(Mb)のホールゲノムシーケンスが報告されました。一方、1998年に報告された結核菌のゲノムサイズは4.41 Mbで、ゲノム内に機能遺伝子が約4,000個、機能していない偽遺伝子は10個以下でした。それに対し、らい菌ゲノムでは機能遺伝子が約1,600個、偽遺伝子が約1,000個もあるという驚くべき事実が判明しました。

ハンセン病はかつて「らい」や「癩」などと呼ばれましたが、偏見差別を生む呼称とされ、現在では「ハンセン病」が正式病名になりました。ただし菌名は「らい菌」が使用されています。ハンセン病は未だ世界で年間約20万人の新患がみられ、主な病変は皮膚と末梢神経です。らい菌に対する各人の免疫能の差として病型分類され、類結核型(TT)、境界型(BB)、らい腫型(LL)、そしてそれらの中間型としてBT型、BL型があり5型に分類されます。なお、十分な医療体制が整っていない地域において治療方法を決めるための簡便な分類として多菌型(MB)と少菌型(PB)の2型がよく利用されています。治療は現在、有効な薬剤(リファンピシン、ダプソン、クロファジミン等)があり、ワクチンが無いことから早期発見と多剤併用療法が対策の根幹となっています。

甲斐 雅規(国立感染症研究所ハンセン病研究センター)

ヌードマウスのマクロファージ中の
らい菌の走査電子顕微鏡像(松岡正典提供)
LL型患者皮膚病変のスタンプ標本。
らい菌は赤い桿状に見えます。
しばしばグロビーと呼ばれる菌塊を形成します(松岡正典提供)