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リステリアListeria

リステリア属菌のうち主にリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)がヒトに感染症をおこします。モノサイトゲネスという名前はこの菌の感染症でしばしば単球増加症(monocytosis)を伴うことによります。

本菌の感染症であるリステリア症はヒト以外の動物も罹る人獣共通感染症で、脳髄膜炎・敗血症・流産をおこします。通常健常人であれば感染しても無症状か軽症で済みますが、高齢者や乳児では重症化し易くなります。妊娠により感染のリスクは約10倍高まり、胎盤を通じて胎児が感染すると流産、死産となります。胎内または周産期に感染すると新生児髄膜炎となり大変危険です。その他、がん、糖尿病、HIV感染等により免疫能が低下していると重症化します。

リステリア・モノサイトゲネスは通性嫌気性のグラム陽性桿菌であり、温度やpHの変化には比較的強く、自然界では土や水中等に広く存在しています。25℃付近で培養すると4本の周毛性鞭毛を形成する一方で体温に近い37℃では形成せず運動性もみられません。このことから鞭毛は環境中での生育に重要であると考えられています。リステリア・モノサイトゲネスは食細胞に貪食されてもその中で増殖できる細胞内寄生細菌です。マクロファージのファゴソーム内に取り込まれた後、リステリオリジンO(LLO)という溶血毒を使って膜に孔を空け、細胞質に移動することにより食細胞の殺菌機構から逃れます。

リステリア症は「食品媒介感染症」です。汚染源は肉、乳製品、野菜等ですが、過去に原因となったものの多くは加工・調理済の食品です。本菌は6%の食塩にも耐性を示し4℃でも増殖するため、冷蔵庫内で食品中を保存している間に菌が増殖しそれを食べることで感染します。冷蔵保存した食品を食べる直前に十分に加熱することは感染を防ぐのに有効ですが、妊婦はカマンベール等のソフトチーズ類の摂食を避けることが推奨されています。

花輪 智子(杏林大学医学部)

写真はリステリア・モノサイトゲネスを感染させた直後および2時間後のマウス由来マクロファージ細胞株(J774.1)の透過型電子顕微鏡像です。
貪食直後の菌はファゴソームの膜に取り込まれていますが(左図)、感染2時間後には細胞質で増殖している様子がみられます(右図)。
◆人獣共通感染症
ヒトおよび動物に共通する感染症であり、病原体には細菌の他、ウイルス、原虫、真菌、プリオンなど数多くのものがある。
◆HIV
ヒト免疫不全ウイルスのこと。ヘルパーT細胞等の免疫系の細胞に感染する。ウイルスの増殖により感染細胞が破壊されて免疫能の低下をひきおこす。進行すると後天性免疫不全症候群(AIDS)となる。