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カンピロバクターCampylobacter

カンピロバクターがヒトの腸炎を起こす菌であることが世界中に知られるようになったのは、1977年に英国のスキロー博士が論文に発表してからのことです。特にカンピロバクター・ジェジュニとカンピロバクター・コリは、主要な食中毒の原因菌として重要視されています。1990年以降、先進諸国における本食中毒は増加しており、日本でも細菌性食中毒の発生件数は第1位となっています。菌は牛、豚、鶏などの家畜・家禽、さらにはペット動物や野生動物の消化管や生殖器などに広く生息し、菌で汚染された食品や飲料水を介してヒトに感染するほか、保菌動物との接触により感染します。保菌動物として最も重要視されているのは鶏です。日本人は食肉や肝臓を生のまま食べる食習慣があるため、問題となっています。稀に合併症として、ギランバレー症候群という筋肉の麻痺が起こることもあります。

カンピロバクターは微好気性細菌といって、増殖するには5~10%程度の炭酸ガスと酸素濃度を必要としますが、低温下で保存した水や食品中では大気中でも比較的長期間生存することができます。つまり、カンピロバクターは食品や飲料水を介した感染を成立させるため、菌にとって厳しい生存環境に適応するための戦略を兼ね備えています。このような観点から、カンピロバクターの生存様式は二つに分けることができます。一つは活動期で、菌は鞭毛により活発に運動し、腸管上皮細胞に付着・侵入して炎症を起こします。第2の生存様式は休止期で、環境の変化に応じて菌の形態がらせん状から球状に変化し、生きているが人工培地で培養できない仮死状態になります。したがって、カンピロバクター食中毒を防除するためには、宿主内での発症機序だけでなく、食品を含む多様に変化する様々な環境中での生存様式(環境適応機構)を理解することも重要です。予防法としては、食品の加熱調理と2次汚染の防止、伴侶動物の適正飼養などが重要です。

三澤 尚明(宮崎大学農学部)

カンピロバクター・ジュジュニの電子顕微鏡写真
◆ギランバレー症候群
ギランバレー症候群(GBS)は筋肉を動かす運動神経の障害のため、急に手や足に力が入らなくなる病気です。これまでの疫学調査によるとGBS患者の少なくとも30%がカンピロバクター・ジュジュニの先行感染を受けていると推定されています。原因はカンピロバクターの感染で作られた抗体が、菌の表層抗原と分子構成が類似している自分の末梢神経を抗原と見なし、誤って攻撃するために起こると考えられています。